小松姫伝説

「一関の文化財」より長者滝橋

平泉藤原氏が全盛を極めた頃、現在の厳美町五串近辺に、「大すみの長者」と呼ばれる長者がいました。彼は、奥州の金山で採れた金を京都へ運ぶため、年に一度京に上ります。長者は、京ではいつも同じ宿に泊っており、そこには小松姫と呼ばれる可愛らしい娘がいました。長者は我が娘同然に幼い姫を可愛がり、いつか姫を奥州へ連れていくと約束しました。しかし、年々姫は長者を恋い慕うようになり、十七歳になった姫に奥州へ行く約束をしつこく迫られた長者は、その後、姫の前に姿を現さなくなりました。
 姫は、長者に会いたい一心ではるばる奥州までやってきますが、心を鬼にして姫に会うまいと決めていた長者は姫に会おうとはしません。悲嘆にくれた姫は「恋しさにはるばる釆たるみちのくの五串の滝に身をばしづみん」という句を残し、滝(現在の小松滝)に身を投じてしまいます。その後、長者の家には次々と不幸なこと起こり、長者は姫の心を踏みにじった自分の行いを悔やみ、嘆き悲しみました。
 長者は、姫の魂を慰めるべく、松を植え、それが現在長者滝のところにある「思いの松」と伝えられています。
(参考文献:「一関市史 第4巻地域史」616頁、「名勝天然記念物厳美溪管理計画書」65頁)

所在地 一関市厳美町鴻の巣、宮田
連絡先 一関市教育委員会文化財課
電話 0191-26-0820
FAX 0191-21-5770
電子メール bunka@city.ichinoseki.iwate.jp
交通アクセス(JR) 一ノ関駅から岩手県交通バス(厳美渓・瑞山線)20分
「厳美渓」下車、徒歩5分
交通アクセス(車) 東北自動車道一関ICから10分