県指定有形文化財 木造地蔵菩薩半跏像附二天立像(伝多聞天立像・伝広目天立像)

県指定 木造地蔵菩薩半跏像

平泉藤原氏の時代に因んだ仏像
 地蔵菩薩はカツラの一木造、半丈六の半跏像です。左手に宝珠、右手に錫杖を持ち、左足を踏み下げて岩座に坐り、円形光背を背負った、堂々とした像容です。平安末期から鎌倉初期(12~13世紀)の作と考えられます。県内における地蔵像の古例としては、西根町聖福寺地蔵立像(平安末)と、中尊寺金色堂六地蔵立像(平安期)が知られているものの、直径1m以上のカツラの巨木でもって造像したものであろうと推察される本像に比して、いずれも小像で、中世以前の半丈六地蔵像は、県内に例がなく、本県の造像史上注目すべき彫刻作品であり、また地蔵信仰の古例として、本県の宗教史の上でも重要な仏像です。
また、二天(伝広目天・伝多聞天)はカツラ材の一木割矧造、平安時代後期(12世紀)の作です。両像とも重厚な造りで、動きに派手さはありませんが、力強さがみなぎっています。平安時代の等身の二天像は、奥州市水沢区の黒石寺の四天王像(平安前期)のほか、北上市立花、毘沙門堂の二天像(平安後期)、二戸市浄法寺町天台寺の二天像(平安後期)が知られていますが、大門神社の本像も平安後期二天像の遺例として貴重である。
これらの文化財が所在する大門の地は、平泉の南の大門跡という伝承があり、平泉文化との深い関係が示唆される、注目すべき資料です。
平成12年11月24日県指定(地蔵菩薩半跏像) 
平成14年5月14日県指定(二天立像)

所在地 岩手県一関市花泉町金沢字大門沢  大門地蔵尊管理員会